【看病:再発予防】⑤先生から聞かされるまで気が付かなかった「私に対する夫の気持ち」

6回目の通院日、先生から「私に対する夫の気持ち」を聞かされました。

 

 

6回が無事に終わりました。

翌週の、検査結果と先生の話で終了です。

 

もう、先生にお会いする事はありません。

そう思ったら、色々と聞きたい事が出てきました。

 

自分でも驚きましたが、一気に喋っていました。

「私に何かできる事はないですか?」

「いつも辛いのは夫だけで、私は何もしてあげられません!」

「なんでもいいので、何かできる事があれば教えて下さい!」

 

夫は、私の事をチラッと見ましたがすぐに下を向きました。

 

先生は、私の勢いに驚いていました。

「何かって…。」

「食事とか…?」

 

必死で喋っているのが自分でもわかりました。

「足や頭のマッサージは毎晩しています。」

「これはやってもいい事ですか?」

「他に何か出来る事はありますか?」

 

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先生は、下を向いている夫を見ながら静かに話し始めました。

「本人の前で…なんだけど…。」

「ご主人…奥さんには十分悪いと思っていると思うよ。」

 

その言葉を聞いた瞬間、夫はガクッと頭を下げました。

足を広げた膝の上で両腕を組み、そこに頭を落としました。

 

(えっ…?)

(なに…?)

(どういう事?)

 

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先生の口調はゆっくりで、夫を気遣いながら話して下さっているのがわかりました。

「だって…健康だったら奥さんを、色んな場所へ旅行に連れて行ってあげる事が出来たし…。」

「でも、その時間は病院にいたわけでしょう…。」

「奥さんにしてあげたかった事、もっともっと沢山あったと思うよ…。」

 

夫の頭がさらに下がりました。

目頭を押さえています。

 

先生が、ティッシュペーパーの箱を夫に渡しました。

夫はお辞儀をして数枚取り、目に当てていました。

 

私は、何が何だかわからなくなりました。

涙で喉が詰まって声が出ませんでした。

 

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思ってもみなかった状況に戸惑いました。

涙がどんどん溢れ出てきました。

 

確かに、50代になってからは入退院の繰り返しでした。

ただただ、夫の病気が治る事だけを考えていました。

 

しかし、その事は結婚前からわかっていました。

義母から何度も何度も聞かされていたため、覚悟は出来ていました。

「病気の家系(義父方)」である事

「男性は40歳代で死亡」している事

「義父も47歳で死亡」した事

50歳になったら必ずこの2つ」をする事

①2年に1回脳ドックを受ける事(会社の健康診断に無い、脳は手術が難しい)

②体を一度全部綺麗にする事(50歳になったらがんが全部出てくる)

 

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さらに、先生は話を続けました。

「奥さんには、感謝の気持ちでいっぱいだと思うよ。」

「毎週、一緒に来てるでしょう…。」

「そんな奥さん見た事ないよ。」

「一緒について来てくれるだけで、十分幸せだと思っていると思うよ。」

 

「何度も入院や手術をしているみたいだけど…。」

「奥さん、毎日面会に行ってたんじゃないの?」

「通院も、こうしていつも一緒なんでしょう?」

 

夫が下を向きながら、小さな小さな声で答えていました。

「はい…皆勤賞です…。」

 

夫に何か言いたくても声が出ません。

先生に返事をしたくても声が出ません。

涙で喉が詰まって言葉になりません。

 

私は十分幸せです。

首を左右に振るのが精一杯でした。