【看病:30代】⑪手術当日の朝「同室高齢男性の言葉」

初めての手術日の事です。
手術の時間が来るまで、並んでベッドに座っていました。
黙ったまま手を繋いで、2人とも床を見ていました。

4人部屋でした。
挨拶以外、お話ししたことは一度もありません。
いつもは閉まっているカーテンが、全員なぜか開いていました。

 

向かいのベッドは、70,80代位の男性でした。

声がしました。
「2人とも、頭を上げて胸を張りなさい。」
「強い心を持たないと、病気には勝てませんよ。」

 

突然の声に驚きました。
「はい…。」

一度は頭を上げましたが、2人ともまたすぐに下を向いてしまいました。
その後、部屋の中はシーンと静まり返っていました。

 

その男性は、背筋をピンと伸ばしてあぐらの姿勢でした。
他の2人の方は50代位の男性で、あぐらの姿勢でしたが下を向いていました。

 

看護師さんが呼びに来ました。

部屋を出る時、また声がしました。
今度は大きな声でした。
「手術に勝ってやるという強い気持ちを持つのですよ。」

50代位の男性2人も声を掛けて下さいました。
「頑張れよ。」
「頑張れよ。」

手術の順番を変えて下さった方々です。

 

いつもは閉まっているカーテンが、朝から開いていた理由がわかった様な気がしました。

30代という若い私たちに、勇気が出る言葉を掛けて下さろうとしていたのかもしれません。