管理人さんの話では、入居者は全員男性で平均年齢は60歳という事でした。
夫は50歳なので一番若いと言われました。
ある日、事故が起きました。
出勤時は、毎朝フロントの前を通ります。
フロントでは、出勤・帰宅のチェックをしています。
ある朝、お一人の方が出勤時間になっても降りてきません。
スタッフが部屋に入ると倒れていました。
突然の心臓発作でした。
各部屋には、急病時の非常ボタンがあります。
お風呂・寝室・トイレにあります。
しかし、非常ボタンの前には物が置いてあった様です。
スタッフの方は、救命処置の講習を受けていました。
素早い応急手当で、救急隊員から褒められた様です。
その方は助かりました。
奥様の話では心臓に持病があるとの事でした。
その後、フロントから書面が配付されました。
「持病がある場合は、各社の総務担当に報告をして下さい。」
夫の場合、私が総務担当です。
遊びに行った時、フロントに呼ばれました。
管理人さんがニコニコしながら話し始めました。
「奥さんが総務担当ですからね。」
「夜遅くまで勉強をしている様です。」
「消灯時間は9時です。ほどほどに。」
「早寝早起きを心掛けて下さい。」
「土曜日の朝も起きて朝食を食べて下さい。」
管理人さんの奥様もスタッフの方も笑っていました。
そして、あるシステムがつきました。
「出勤日」と「休暇日」の区別をするためのものです。
休暇日は起こさない様に、「フロントに報告」、または「システムのボタンを押す(=明日は休みだから起こさないで欲しい、という意味)」。
しかし、男性にその様な細かい事はなかなか難しいです。
急に当日休む事もありますし。
酔って帰って来る事もありますし。
「皆さん、報告をしてくれない…。」と管理人さんが困っていました。
結局、各企業の総務担当からの意見どおりになりました。
『フロントに連絡をしない場合は、今までどおり出勤時間に起こしに行く』
この男性は助かりましたが、「高齢者の一人暮らしの危険」を考えさせられました。
「もし、一人暮らしで何時間もそのままだったら…」と思ったら怖くなりました。
発見が遅れることで、治療が遅れてしまうケースもあります。
日本は超高齢社会です。
高齢者の一人暮らしはますます増えて行くことが予想されます。
近所の方々の見守りの大切さ。
頻繁に連絡をとる。
安否を確認し合う。
家族だけでなく、近所・地域の見守り体制の整備が必要だとつくづく感じました。