【看病:50代①】⑥写真が教えてくれた大切なこと

転勤先で1年が過ぎた頃に、突然発令がありました。

東京に戻る前に、別の県を経験しておいて欲しいとの事でした。

 

そして、新しい県で1年が過ぎた頃のこと。

私はいつもの様に東京で仕事をしていました。

健康保険組合では、業務に関係する専門誌や政府関係の刊行物等が回覧されます。

 

その日は、㈱法研の『週刊社会保障』という定期刊行誌を読んでいました。

厚生行政に関する情報を取り扱い、健保、年金、福祉、研究者向けの雑誌です。

 

しかし、ある頁を開いた瞬間、驚いて飛び上がりました。

座っていた席を「飛び上がる」という経験は初めてです。

雑誌を開き、立ったまま固まってしまいました。

常務理事に「どうしたの?」と声をかけられ、ハッとして「いいえ…」と言いながら、ふらふらと座り直しました。

 

そこには、「見た事のない」夫の写真が掲載されていました。

精気が全く感じられない写真でした。

 

雑誌への掲載は、今までも何度かあります。

毎回、イキイキとしていて強さを感じました。

数百人規模の講演会での写真も見た事がありますが、堂々としていました。

 

しかし、この時は違いました。

2頁分の文章に顔写真が掲載されていましたが、とても痩せていました…。

 

ドキドキドキドキしました。

(まさか…)

(がん…)

 

すぐに夫に電話をしました。

笑いながら「元気だよ。」という返事でした。

明る過ぎる声に逆に違和感を感じました。

 

 

転勤先では、産業医と契約をしています。

産業医は、毎月「衛生委員会」に出席します。

夫は年金事務所の所長でしたが、委員会の後は所長室で産業医と雑談をしていた様でした。

「疲れやすい」、「階段の昇り降りがきつい」など、気になる事を相談していると聞かされていましたので安心していました。

私も忙しかったので、「安心しよう」と自分自身に言い聞かせていたのだと思います。

 

数か月後、産業医から「うちの病院で検査をしましょう。」と言われました。

検査の結果、大きな病院を紹介され、そこで「かなり進行したがん」が見つかる事になります。

 

 

写真は「年齢が出る」と言いますが、「病気も出る」のでしょうか。

写真に詳しくありませんが、写真は「真実」を写しているのかもしれないと思いました。

 

毎月会いに行っていましたが、「こんなに痩せている」事に気が付きませんでした。

他の事(会えて嬉しい、滞在期間は何日だけ、観光もしたい、話もしたい等)で、頭の中はいっぱいでした。

 

「見えなければいけないもの」が、見えていませんでした。

“自分が見ている景色とは違ったものを写してくれる”

写真は大切なものだと思いました。