【看病:50代①】⑬30代手術時の病院に「手術、主治医のお願い」

ちょうど同じ時刻、夫は転勤先の病院で医師から手術の説明を受けていました。

突然病院から呼び出しの連絡があったそうです。

かなり進行していたため、急ぎの手術が必要でした。

 

私は、夫は仕事に行っていると思っていました。

夫が30代の時お世話になった先生(現院長、30代手術時の外科医長)に、「手術、主治医」の相談をしていました。

 

元外科医長はこの時「副院長」でした。

その後「院長」に就任されます。

 

しかし、私の中では「時」が止まっていた様で、いつまでも「優しい外科医長」のままでした。

「副院長」とわかるのは、入院してからです。

 

前日、ネットで病院を検索しましたが、「名前」だけしか目に入りませんでした。

私にとって、「役職名」は関係なかったのだと思います。

 

 

診察室の扉の前で、開けるのを一瞬ためらいました。

理由はよくわかりません。

あんなに1階のロビーで目立つ事をしていたのに…。

断られるのが怖かったのかもしれません。

 

 

ゆっくりと扉を開けました。

昔のままの優しい先生が座っていました。

とても心配そうな顔で、「どうしたの…」と聞いて下さいました。

 

立ったまま泣き出してしまいました。

夫が2度目のがんになったからではありません。

 

「どこの誰かわからない」、しかも「本人ではなく家族」なのに、今こうして先生にお会いできている状況に、感謝の気持ちがこみ上げてきました。

受付の方々の「困った表情」、「皆さんの業務を止めてしまった事」、「断られなかった事」などを思い、涙が止まりませんでした。

 

 

「まあ座りなさい。」

「何があったの?」

と聞かれ、今までの経緯を話しました。

 

そして、

「この病院で手術をしたい。」

「あの時の先生に、また主治医になって欲しい。」

「夫が30代でがんになった時、助けてくれた先生です。」

と、お願いをしました。

 

先生は、困った顔をしました。

そして、子どもに説明する様に優しく話し始めました。

「あの先生はね、もう主治医はしていないの。」

「あれから15年位経っているでしょう。」

「今はね、若い先生を指導している立場なの。」

 

「・・・」

 

ほぼすべての手術に立ち会っているとの事でした。

病院の決まりで、主治医はしない立場の先生と言われました。

 

「・・・」

 

 

夫は、私が断られたら転勤先の病院で手術をするつもりでした。

しかし、私には「諦める」という気持ちは全くありませんでした。