東京に到着した日、自宅に寄らずそのまま病院へと向かいました。
先生(現院長)は、夫の事を覚えて下さっていました。
180㎝以上あるからでしょうか…。
約15年も前の患者なのに…。
ありがたい気持ちで一杯でした。
「おぉ、おぉ、思い出した、思い出した。」
「背が高いので思い出したよ。」
夫も、大好きな優しい先生(現院長)に会えてとても嬉しそうでした。
転勤先の病院から預かった、手紙やCDロムを渡しました。
しばらく黙って画像を見ていました。
「〇〇先生(30代手術時の主治医)を呼んで、手術の計画をするから一旦外で待っててね。」
しかし、〇〇先生(30代手術時の主治医)は手術中でした。
終わり次第、話し合うとの事でした。
そして、きっぱり一言。
「今日から入院。」
(あっ…やっぱり…)
(一刻の猶予もないのだわ…)
しかし、夫は状況を理解していない様でした。
「今日は家に帰りたいのですが…。」
先生(現院長)は悩んだ末、「外泊」にして下さいました。
帰宅すると、ホッとした笑顔になり、そして寝てしまいました。
「やっぱり家が一番いい…。」
しかし、夜5時半頃に病院から電話がありました。
助手としてついて下さる「女性の先生」からでした。
突然、怒られました。
「どうして帰ってしまったのですか?」
「奥さんもCTの画像を見ていますよね!」
「とてもひどい状態だという事はわかりますよね!」
(そう言われても…)
(素人だし…)
「話し合いの結果、今日から入院、明日検査、明後日手術になりました。」
「急ぎます!」
「すぐに戻ってきて下さい!」
「何も食べないで来て下さい!」
慌てて寝ている夫を起こし、病院に向かいました。
タクシーの中で、夫は無言でした。
眉間に皺を寄せ難しい顔をしています。
病院に着くまで二人とも一言も喋りませんでした。
病院に着き、最初にベッドの名札(主治医の名前)を見ました。
無理にお願いをして現院長を困らせた、あの先生(30代手術時の主治医)の名前が書かれてありました。
主治医の名前を見て、夫もホッとした様で笑顔になりました。
二人で主治医の名札を眺めて満足していたところに、現院長がわざわざ病室までいらして下さいました。
「ごめん、ごめん、急がせちゃって。」
「少しだったけどゆっくり出来た?」
本当に優しい先生(現院長)です。
こういう流れになる事を想定して…
でも、どうしても家に帰りたいという夫の気持ちを考えて…
許可をして下さったのだと思います。
そして、2日後の手術に向けて、この日の夜から急ピッチで色々な事が進んで行きました。