【看病:50代①】⑲手術当日「家族の様な先生方や看護師さん」

手術の順番は朝1番でした。

「朝8時に来て下さい」と言われました。

 

朝早いせいか、他の患者さんのご家族にはお会いしませんでした。

段々不安になり、下を向いてエレベーターが来るのを待っていました。

 

後ろから明るい声が聞こえました。

内科医長(現副院長)が、笑顔で立っていました。

「おはようございます!」
「ご苦労様です!」

 

昔(30代手術時)、「夫を支える」という事について気付かせて下さった先生です。

エレベーターには乗らずに去って行かれました。

「頑張りましょう!」

 

 

手術中は、食堂で待っていました。

食堂に行く途中、今度は前院長が声を掛けて下さいました。

「わざわざ指名してくれたんだってね。ありがとう。」

昔(30代手術時)、内科医長時代に「一番若い入院患者のため、手術の順番を早くしてあげて欲しい。」と外科医長(現院長)にお願いをして下さった先生です。

 

 

この病院は、看護師さんだけでなく先生方も「家族の様に」接して下さいます。

本人はもちろんですが、家族も不安です。

先生方にとっては、ただの一言かもしれませんが、この一言で救われる事もあります。

 

 

午後1時頃、手術が終わりました。

予定どおり無事に終わり、手術の説明が始まりました。

主治医は、ホワイトボードに丁寧に描きながら、わかりやすく説明をして下さいました。

 

今後、注意する事について質問をしました。

「残念ながら、出来易い体質の様。」

「年1回は検査が必要。」

「半年でも出来る。年1回は必ず。」

 

前回とどちらが進行しているか質問をしました。

「今回の方が進んでいる。」

「非常に腫れている部分があった。」

「今回は、転移は免れないと思う。」

「治療方法について話し合いたい。」

「病理検査の結果は2週間後。」

「ご家族も一緒に。」

 

覚悟は出来ていましたので冷静でした。

「今回は私も覚悟をしています。」

「転移の話はまだしないで下さい。」

「私から先に話しておきます。」

 

そして、主治医にお願いをしました。

「いつまでも先生に頼ってしまい申し訳ございません…。」

「でも、今後も夫の主治医をお願いしたいのですが…。」

 

先生は、「う~ん…」と言いながら悩み出しました。

ボールペンをくるくる回しています。

 

なぜか、横に座っていた女性の先生が、すっと立って壁に張り付きました。

看護師さんも同じでした。

女性の先生の横で、直立不動の姿勢で並んでいます。

緊張している様でした。

 

(あっ…)

(もしかして…)

(お願いしてはいけない事…?)

 

とっさに頭を下げました。

「お願いします!」

 

「う~ん…」と言う声が続いています。

 

やっと先生の声が聞こえました。

「昔、自分が診た患者さんは、今後の経過についても知りたいと思っていますので、いいですよ。」

 

私の席の横で並んで立っていた、女性の先生と看護師さんがホッとしていました。

あとから、「どうなるかと思った。」「緊張した。」「でも良かったですね。」と言われました。

 

私も全身の力が抜けた様になりました。

(これで夫は生きられる…)

 

帰宅後、義父母の遺影に報告しました。

涙が溢れました。

なぜか、どんどんどんどん涙が出て止まりませんでした。