病理検査の結果は、約1か月後でした。
今回も、30代入院時と同じく「想定外の結果」でした。
病理検査の結果は、退院後初めての外来時でした。
手術から1か月ほどかかりました。
診察室のドアを開けると同時に、先生の明るい声が聞こえました。
「いやー、良かった。」
「転移はありませんでした。」
画像を前に、笑顔で振り向いています。
普段、あまり笑わない先生です。
意外な明るい声に、二人ともキョトンとしてしまいました。
「・・・・・?」
「・・・・・?」
夫は、ドアノブを持って、ドアを半分開いたままです。
診察室に入らず立った状態なので、待合室の患者さん方が不思議そうに私たちを見ていました。
夫が「はっ?」と言っていました。
私も聞き間違えかと思いました。
二人とも放心状態です。
ドアを閉めて診察室の中に入りました。
恐る恐るゆっくりと二人で座りました。
先生は本当に嬉しそうでした。
「進行は、やはり深かった。」
「突き破る、紙一重の状態。」
「リンパへの転移もなし。」
「かなり進行していたので、転移していると思っていた。」
「しかし、転移していなくて本当に良かった。」
とても嬉しそうに画像を見ていました。
頷きながら、何度も繰り返し喜んで下さいました。
「良かった、良かった。」
二人とも信じられませんでした。
「・・・・・」
「・・・・・」
私たちが放心状態から解放されたのは、数時間後でした。
私は諦めない方ですが、今回ばかりは病気の「画像が怖い顔で睨みつけているかの様にひどい状態」でしたので、覚悟をしていました。
夫も転勤先の検査中に画像を見た時は、「前回(30代)よりもひどい状態である事はすぐにわかった。」「怖くなり目を背けてしまった。」と言っていました。
人生は、本当に何が起こるかわかりません。
「何事も、最後の最後まで諦めてはいけないのではないか」と思いました。
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そして、もう1つ想定外の事がありました。
退院は12月でした。
術後の痛みがありましたが、年末年始は病院は休みです。
近所の病院が開いていたので、行った時の事です。
先生から質問されました。
「どこの病院?」
「執刀医は誰?」
「病院名」と「主治医(執刀医)」の話をしました。
「副院長(現院長)」には、30代時も今回も手術に立ち会って頂いている事を話しました。
すると、ペンを置き、カルテに書く事をやめてしまいました。
「じゃあ、安心だ。」
「執刀医も〇〇先生なら安心。」
「何も問題ない。」
「二人の事はよく知っている。」
カルテには、「〇〇病院」「執刀医、〇〇先生」「副院長(現院長)の名前」を書いて、大きくマルで囲み終わりです。
「・・・・・?」
「・・・・・?」
そして、主治医について、いろいろ教えて下さいました。
「非常に勉強になる先生。」
「お手本にさせて頂いている。」
転勤先に戻る時、夫は「これでしばらくは何もない。」と安心していました。
しかし、私は亡くなった義母から、
『体を一度全部綺麗にする事(50歳になったら悪い物が全部出てくる)』
と、何度も何度も聞かされていましたので、
「ここからが始まり…。」
「恐らく長く続く…。」
と思いました。
そして、その通りになります。