【看病:50代②】⑤思いがけない夫からのプレゼント

慣れない病院で、1か月が過ぎようとしていました。

自宅から遠い病院でしたが、面会には毎日行きました。

 

病院内には、コンビニがありました。

併設したスペースには、「長机・椅子」、「電子レンジ」、「コピー機」なども。

 

隅には、「手作りの商品を販売」している60代位の女性がいました。

エプロン、パジャマ、手さげ袋…。

入院されていらっしゃる方にとっては、夢の様な空間なのかもしれません。

 

私もその商品を見るのが楽しみでした。

上品で落ち着いたデザインです。

 

壁には、沢山の小物類が飾ってありました。

その中に、「花の刺繍を施した黒い手さげポーチ」がありました。

なぜか、ずっと上の方に掛かっていて、いつも見上げて見ていました。

(どうしてあんな上の方にあるのかしら…?)

 

段々そのポーチが気になり、いつの間にかそれだけを見る様になっていました。

 

ある日、いつもの様にコンビニに行きました。

すると夫は、手作り商品を販売している女性の所に行き、声を掛けました。

「あの上の方に掛かっている黒いポーチを見せて下さい。」

 

いつも私が見ている事に気が付いていたそうです。

買ってくれました。

 

上の方に掛けてあったのは、「目立つ様に」との思いからだった様です。

「入院患者さんが一日でも早く治ります様に…。」と、一針一針心を込めて刺繍をされたそうです。

 

丁寧で心のこもった商品でしたので、「入院患者さんのため」という事は、初めて見た時から気付いていました。

そのため、欲しくても買うのをためらっていました。

 

 

販売している女性は、「私が毎回見上げている」のを見ていたそうです。

そして、「夫がその私を見ている」事にも気が付いていたそうです。

 

「あなたたちご夫婦に買ってもらえて嬉しいです。」

と言われました。

 

私もとっても欲しかったので、嬉しくて、嬉しくて、今でも大切に使っています。