創業融資に申し込んだ理由は2つ。
①急な入院に備えるため治療費代は別途確保
②「借りた物は必ず返す」という実績作り
一般的に「創業融資」は、「日本政策金融公庫」や「銀行」から借りるイメージだと思います。
検討した結果、メリットの多い「自治体創業融資」に申し込む事にしました。
〇銀行・信用保証協会・中央区
〇三者の審査に通らなければなりません
〇審査期間は3倍になります
〇書類も多く面談に何度も足を運びました
<銀行>
中央区の経営相談員から、「まず、融資してくれる銀行を探す様に。」と言われました。
指定金融機関リストを渡されました。
順番に電話をしていきました。
しかし、ことごとく断られました。
「レンタルオフィス?」
「あー、ダメダメ。」
ガチャン。
この繰り返しでした。
会ってもくれません。
当時、オレオレ詐欺等の組織的犯罪防止のための通知が、各金融機関に関係当局から発出されていました。
融資後突然いなくなる、という詐欺行為が横行していました。
心身共に疲れていたので、日本橋の雑居ビルの1Fでしゃがんで電話をしていました。
(40件目…どうせまたダメ…)
しかし、想定外の返事でした。
「どうぞいらして下さい。」
思わず失礼な聞き方をしてしまいました。
「えっ?今なんて言いました?」
支店長代理の男性が対応して下さいました。
静かで上品な声です。
「どうぞいらして下さい。」
今までの経緯を話しました。
今回も諦めながら電話をした事。
笑いながら話し始めました。
「その通知は、もちろん存じ上げております。」
「私どもは、話を聞かないでお断りしない様にと上から言われています。」
「社長様の人柄も、お会いしなければわかりません。」
まったくそのとおりだと思います。
「私どもは」「上」と言うのが、「社長」の考えなのか「支店長」の考えなのかわかりませんが、その足ですぐに向かいました。
<信用保証協会>
「東京信用保証協会本店」に行きました。
担当は、元本店長でした。
「定年退職したばかりだが、お手伝いに来ている。」と仰っていました。
今までご自身が決裁をしていたので、いろいろな事を詳しく教えて下さいました。
〇結構問題になるのが、カードの年会費
〇300円の年会費を払っていない人もいる
〇仕事が忙しく振込みに行く暇がないという
〇しかし、何度も郵送物や電話はあったはず
顔は見えませんが、ちょうど隣の方がそのケースでした。
保証協会の方と戦っている様で、大きな声でした。
「そんな小さなお金が問題なの?」
「仕事が忙しく行く暇がなかったんです!」
「今日帰りに払ってきますよ!」
「だからいいでしょう?」
元本店長さんが小さな声で仰っていました。
〇300円が小さいかどうかではない
〇この人は信用がないと判断されてしまう
〇その時点の行いが、後で影響する事がある
〇それを皆わかっていない
〇1円でも借りるのは大変
その後、その方がどうなったのかわかりませんが、私も年会費について重要視した事はありませんでした。
<中央区>
「銀行」と「信用保証協会」から承認を得られ、審査のための書類一式を提出しました。
1ページ目に押した㊞が曲がっていました。
ちょっと斜めになってしまいました。
担当の経営相談員(65歳位)は大慌て。
「人柄を見られてしまう。」
「審査員の心証が悪い。」
「もう一度やり直し。」
「今度は真っ直ぐ押すように。」
何度か押す練習をさせられ、本番は真っ直ぐに押せました。
各機関の温かいご指導により、審査は無事に通りました。
申し込んだ理由の、「②借りた物は必ず返す」という事を心に決めました。
1か月の遅滞なく無事に完済しました。
繰り返す入院で治療費代がかかりましたが、融資のお陰で危機を乗り越える事が出来ました。