手術が終わり、病理検査の結果日が来ました。
この日は、私たちの「銀婚式」の日でもありました。
「早期の早期」と言われていても、やはり病理検査の結果を聞くのは怖いです。
この日はまだ入院中でした。
手術の多い日で、入院病棟のラウンジは夜までご家族の方でいっぱいでした。
病理検査の結果を聞けるのは16時の予定でした。
しかし、先生は手術で忙しく、既に18時を回っていました。
(今日は無理かも…)
(夫に話さなければ…)
そんな事を考えていた時、パタパタと先生が走ってきました。
「すみません、遅くなりまして…。」
(えっ…まだラウンジはご家族でいっぱい…)
(手術はまだ終わっていないはず…)
先生はニコニコと笑顔でした。
「転移なし。」
「良かったですね。」
すぐに手術室に戻られるという事でした。
看護師さんの話では、待っている私たちの事を心配して、「結果だけでも…。」と、合間を見て知らせに来て下さったそうです。
確かにそのとおりでした。
待っている間、夫は何も話さずに黙っていました。
私も話しかけませんでした。
明日になるかも…と思っていました。
結果を聞いて、夫はホッとしています。
優しい心遣いの、細部まで行き届いた先生に感謝致しました。
この日は「銀婚式」の日でもありました。
病院内のコンビニで、100円程の小さなフルーツゼリーを購入してお祝いをしました。
入院病棟のラウンジにあるソファーに座り、夜景を見ながら並んで食べました。
看護師さんがその様子を見ていました。
夫が30代の入院時から、この病院で勤務しているベテランの看護師さんです。
「検査結果の報告」と、「今日は銀婚式」だと話しました。
看護師さんは、「おめでとう!」と拍手をしながら涙を拭いていました。
「あなたたちを見ていると、もう…。」
「なんて言ったらいいのか…。」
と言い、黙ってしまいました。
そして、
「絶対に金婚式を迎えるのよ。」
「いい?絶対よ。」
と力強く言われました。
初めての入院は30代でした。
その時は、次の「正月」「誕生日」を迎えられた事に、2人とも感謝でいっぱいでした。
まさか「銀婚式」を迎えられる日が来るとは思ってもいませんでしたが、「金婚式」まで2人でいられたら本当に幸せだと思います。