【看病:50代④】⑱抗がん剤治療と仕事「先生にお願い(8月はもうやりたくない)」

抗がん剤治療の予定は、半年間(3~8月)でした。

 

7月の入院は「6/30~7/7」の約1週間。

退院日の2日後に、外来の予約が入っていました。

 

前日の夜、夫から相談されました。

「薬が蓄積されてきた様で気持ちが悪い。」

「ずっと船で酔っている感じ。」

「6月のCTで消えているのなら、8月はもうやりたくない。」

 

しかし、先生は「念のため半年間やりたい。」と仰っていました。

 

この科の主治医も、外科の主治医と同じで、

“また病気にならない様に完璧に治そう”

と考えて下さいます。

 

その気持ちは、夫にも私にも十分伝わっていました。

そのため、夫はぎりぎりまで悩んでいました。

 

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しかし、とにかく気持ちが悪い。

退院後の通勤も、一駅一駅降りて休むほど。

 

何度か、乗り換え駅までついて行った事がありますが、駅のベンチで頭を下げて辛そうでした。

私と別れる時は、元気そうに手を振っていましたが、ハンカチを口に当てていました。

 

「やっぱり最後の駅までついて行こう!」と改札口を通ろうとすると、帰りなさいという仕草をします。

無理に笑顔で手を振ってくれているのがわかりました。

 

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外来日、順番がきて診察室に入りました。

私は、夫の斜め後ろに座っていました。

 

夫は、先生との会話に元気がありません。

緊張している様でした。

“8月の抗がん剤治療を断りたい”

という気持ちがあるせいでしょうか。

 

段々心配になってきました。

(大丈夫かしら…)

(言えるかしら…)

 

先生は、私たちの様子を見てニコッと笑いました。

先生から、「8月はどうされますか?」と聞いて下さいました。

 

想定外の質問に、私たちは一瞬黙ってしまいました。

 

先生は、終始笑顔でした。

夫が話しやすい様に、話を持っていって下さいました。

「だいぶ気持ちが悪かった様ですね。」

 

「ええ、そうなんです…。」

「出来れば、もうやりたくないという気持ちが本音です。」

 

後ろでドキドキしていました。

(言えた!)

 

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先生は、CT画像などを見て「8月の抗がん剤治療はなし」という結論になりました。

しかし、「8月末頃にもう一度CT検査を受けて欲しい。」と言われました。

 

(・・・?)

(どうして?)

(6月にCT検査をしたばかりなのに…)

 

その時、「あっ!」と思い出しました。

 

抗がん剤治療は、リンパに大きな腫れが1つ見つかったため始まりました。

その説明時に、もう1つ別の話をされていました。

夫も私もすっかり忘れていました。

 

・リンパではないが、別の箇所に気になるものがある。

・まだ小さくて5mm以内。

・しかし、リンパが先。腫れが大きいため。

・もしかしたら、リンパの治療時に一緒に消えるかもしれない。

・しかし、リンパではないので消えるというのは、あくまでも“可能性”。

 

この科の先生は、基本的に笑顔です。

でも、笑顔ではない時があります。

患者の目をしっかり見て、ゆっくり話をする時。

 

その様な時は、その言葉どおりになります。

この時もそうでした。

 

つまり、消えるかどうかは、あくまでも“可能性”

リンパではないので、あくまでも“可能性”

 

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すっかり忘れていました。

一気に色々な事が頭に浮かびました。

 

(またすぐにCTということは…)

(リンパの腫れは消えたけど…)

(気になるものは消えていない可能性が大きい…)

(恐らく、8月末のCT検査は次回手術のため…)

(という事は、近いうちにまた手術…)

(9月か…10月か…)

 

先生にお聞きしたかったのですが、夫はすっかり忘れています。

たった今、「8月は抗がん剤治療をしなくて良い。」と言われたばかりです。

安堵の表情で喜んでいます。

 

夫の前では、とても聞けませんでした。

8月末のCT検査結果を待つ事にしました。