「リンパの大きな腫れは消えた」という結果で、次は「ある臓器に出来たがん」の手術です。
夫は、「手術」と聞いた途端に肩を落としていました。
「…またですか?」
先生は笑っていました。
力づけるかの様な返事でした。
「はいっ!」
「またですっ!」
夫は、一気に項垂れました。
最初に頭に浮かんだ事は、「勤務先への休みの報告」の様でした。
「今度は、入院期間はどの位でしょうか?」
先生はやはり笑顔です。
「1週間です。」
「外来で行う人もいます。」
夫は、重たい頭をなんとかあげて聞いていました。
「私も外来でお願い出来ないでしょうか?」
「もう、何度も入院をしており勤務先に迷惑をかけていますので…。」
夫は、懇願しているかの様でした。
しかし、夫の場合は複数の臓器を手術しています。
先生は即答でした。
「外来ではなく、入院での手術になります。」
また、夫の頭がカクンと下がりました。
きっと頭の中は、仕事の事で渦巻いていたと思います。
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勤務先が気になるのは当たり前です。
また、皆さんに迷惑をかけてしまうのですから。
もう、「何度も入院・手術」をしています。
「手術前の検査入院」もありました。
退院後も通院のため、「休暇、早退、遅刻」…。
今回の入院が「1週間」だけでも、勤務先に報告するのは精神的に辛かったと思います。
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検査ですが、「外科」の検査でしたら慣れています。
しかし、この科での検査は初めてでした。
先生が丁寧に説明をして下さいました。
検査前日の夜に、夫の口から出た言葉。
「どの様な検査なのだろう…。」
経験のない検査のため、不安なのでしょう。
この時の精神状態は、本人にしかわからないと思いました。
何と言っていいのかわかりませんでした。
何を言っても不安だと思いました。
そして…。
…やっと言葉が出ました。
「他にも同じ検査をしている人がいる…。」
「夫だけじゃない…。」
スマホで検索をして、出て来た「検査方法のマンガ」を見せました。
どの様な検査をするのかわかり、落ち着いた様でした。
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検査の結果
・早期でおとなしいタイプ
・浸潤していない
・5mm以内の小さいものが複数
先生は、診察中ずっと笑顔でした。
先生の「笑顔と言葉」に救われました。
「早期の早期ですから。」
「取ってしまえばいいだけです。」