【看病:50代⑤】⑦満床で移ってきた外科の患者さんご夫妻

6度目の入院期間中に、外科の患者さんが1人移ってきました。

 

 

その少し前に、入院病棟のラウンジで「外科の主治医」を見かけました。

とてもお忙しいご様子でした。

急いでエレベーターに乗ろうとしているところでした。

 

二人で駆け寄りました。

「先生!」

「先生!」

 

外科の主治医は、夫を見て非常に驚いていました。

「えっ!また?」

「今度は?」

 

あまりにも急に決まったため、外科には未だ伝わっていない様でした。

あんなに急いでいたのに、エレベーターを見送り、話を聞いて下さいました。

 

夫が説明しました。

・化学療法で無事にリンパのガンは消えた

・今度は、リンパではなく別の場所

・小さ過ぎるため経過を見ていた

・再発や転移ではなく、原発の早期

・入院期間は1週間

 

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この科では4人部屋にしました。

皆同じ病気だからです。

情報を欲しいと思いました。

 

1人は、60代と思われる「外科」の男性患者さんでした。

でも、ここは外科ではありません。他科です。

外科が満床で移ってきた方でした。

 

突然、先ほどの夫の「外科の主治医」が入ってきました。

この患者さんに話しています。

「明日、手術をします。」

 

でも、その患者さんは後ろ向きの返事でした。

「えっ!」

「明日?」

「でも…。」

「それは…。」

「急に言われても…。」

 

お二人の会話が進まず…。

外科の主治医は、「明日手術します。」と言い、出て行ってしまいました。

 

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しばらくして、奥様が面会にきました。

 

話し声が聞こえました。

「いきなり来て、明日手術だって言うんだよ。」

「名前?いやわからない。」

「偉そうなんだよ。」

「感じが悪いんだよ。」

「笑わないし。」

 

 

思わず、私たちは笑ってしまいました。

私たち夫婦が、「絶大な信頼」を寄せている外科の主治医です。

現院長に無理矢理お願いをして、主治医になって頂いた先生です。

 

以前、外科の受付の女性が、「誰よりも熱く患者さんの事を思っている先生なんだけど、あまり笑わないから勘違いされることがあるのよねー。」と仰っていた事がありました。

 

確かにあまり笑いません。

話し方もストレートです。

この患者さんが勘違いされるのも無理はありません。

 

 

しかし、奥様の方がもっとストレートでした。

「なに、ごちゃごちゃ言ってるのよ!」

「この病院に何しに来たのよ!」

「美人で優しい看護師さんばかりだと喜んでいるけど、この病院には手術をしに来たんだからね!」

 

数時間経ち、また外科の主治医が来ました。

「明日の手術どうされますか?」

 

奥様の声が聞こえました。

「どうぞよろしくお願いします。」

 

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しばらくして、ご主人様の声がしました。

「あの先生が手術するのかなー。」

「怖いなー。」

 

「ごちゃごちゃ言ってないで、もう決心しなさいよ!」

 

 

夫は笑っていました。

ラウンジに行こうと言い、カーテンを開けました。

奥様と目が合った様でした。

 

夫から話しかけました。

「私も、あの先生が外科の主治医です。」

「30代の時からずっと診てもらっています。」

「私から、外科の主治医はあの先生がいいと希望しました。」

 

ご夫妻が、夫に色々と質問をしていました。

私はベッド周りの整理をしていたため、夫が何を話したかはわかりません。

 

でも、ご夫妻の「良かった、良かった。」という明るい声が聞こえてきました。

病院の中では、短期間でも色々なドラマがあるとつくづく思いました。