【看病:50代⑤】⑧一度は離れても、戻ってきた「外科の女性患者さん」

外科の主治医について、前ブログの男性患者さんと同じ印象を持っている女性に出会いました。

 

 

この入院期間中の出来事です。

病院に近い駅のバス停で、ベンチに座ってバスを待っていました。

隣には、60・70代と思われる女性が座っていました。

 

話しかけられました。

「大きな荷物を持っているけど、ご家族が入院しているの?」

 

「…はい。」

 

「私も10年以上前に、あの病院で手術をしたのよ。」

 

「じゃあ、今は年1回の通院ですか?」

 

「……。」

 

返事がありません。

もじもじしています。

 

「最近、また病気になったんだけど、今度は別の病院にしたの。」

 

「えっ?別の病院?どうしてですか?」

 

「だって、外科の主治医、愛想ないんだもん。」

「世間話にも乗ってくれないし。」

「笑わないし、感じ悪いのよ。」

 

(まさか…)

 

「〇〇先生なの。」

 

(やっぱり!夫と同じ外科の主治医!)

 

「知ってる?」

 

夫の許可なしでは答えられず、変な返事になってしまいました…。

「…はい。」

「…お名前だけは聞いた事があります。」

 

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その女性は、「別の病院」に行ったはずです。

でも、隣りに座っています。

気になったので聞いてみました。

「今日は…何か用事でも…?」

 

「……。」

 

また、黙ってしまいました。

女性は、両足をぶらぶらと動かし始めました。

黙って私の目を見て、ぶらぶらさせています。

小柄な女性なので、ぶらぶら出来ます。

 

何か言いたそうな顔をしています。

口をぎゅっと一文字にしています。

私の目をじっと見ています。

なぜか、もじもじしています。

そして、恥ずかしそうに言いました。

 

「でもね、戻ってきたの…。」

「この病院に、戻ってきたの。」

 

「えっ?」

 

「だって、あの先生腕は確かなんだもん。」

「やっぱり、あの先生がいいの。」

「愛想があろうが無かろうが、どうでもいいの。」

「家族にも言われたの。」

「あの先生がいいの!」

 

思いがけない場所で、夫と同じ外科の主治医の話。

 

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よく、「部下は上司を選べない」と言います。

上司は、「上司も部下を選べない」と返します。

 

でも、「患者は病院を選ぶ事が出来ます」。

 

本人の意思で「別の病院」に行ってもいいと思います。

たった1つの大事な命ですから。

 

自分の目で病院を見て…。

自分の耳で話を聞いて…。

考えて、考えて、考えて、考えて、判断する。

 

そして、戻ってくればいいんですから。

 

ベンチには、私たち2人だけでした。

大きくぶらぶらさせながら、「照れながら正直に話す女性」。

 

時が、ゆっくりと静かに流れている様に感じました。