【看病:50代⑥】⑬夫の涙が止まるまで「黙って待っていてくれた主治医」

主治医から「入院中止」の連絡があった翌日に、外来で詳しい説明がありました。

 

 

やはり胃カメラでがんが見つかりました。

・珍しい場所

・見つけにくい場所

・難易度の高い手術になる

・外科の中でも1、2番目に難しい手術

 

手術をする・しないの話ではなくなりました。

 

聞き慣れない臓器の名前が出てきました。

・その臓器ごと「取る」か「取らない」か

・出来易い体質

・また出来る可能性がある

・標準治療では「取る」

・「取らない」場合は…

 

主治医の話は続きました。

・今回、すでに2つ見つかっている

・しかも1つは珍しい場所

・もしかしたら全身に潜んでいるかもしれない

・PET検査をしておきたい

・もし、他にもがんが見つかったら化学療法がいい

 

主治医は、頭の中で色々と考えている様で早口でした。

夫にとって、一番良い方法を考えて下さっているのがよくわかりました。

 

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主治医は、夫に話しかけました。

 

夫の頭が下がり、目頭を押さえました。

声が出ない様でした。

「…すみません。」

「…ちょっといいでしょうか。」

 

そう言って、更に頭を下げました。

ハンカチを目にあてていました。

どんどん頭が下がります。

 

主治医は、夫を見て話すのを止めました。

「…どうぞ。」

 

主治医は、クルッと机に体を向けました。

黙って画像を見ていました。

夫の声が聞こえるまで、じっと画像を見つめていました。

 

私は、二人を見ていて息が詰まりそうでした。

 

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この時の事を、今でも夫は話す事があります。

主治医にとても感謝をしています。

「あの時、”どうぞ” と言って泣く時間をくれた。」

「涙が止まるまで、黙って待っていてくれた。」