【看病:50代⑥】⑱「PET」と「2回目の胃カメラ」の検査結果

「PET」と「2回目の胃カメラ」の検査結果は、2月下旬でした。

 

 

毎朝晩、仏壇の掃除をしています。

この日も、病院に行く前に、二人で義父母の遺影に手を合わせました。

 

そして、仏壇に飾ってある「写真立て」を鞄に入れました。

写真は、若い頃の義父母のデート写真です。

夫が一番気に入っている写真です。

 

この「写真立て」は、病院に行く時に必ず持って行きます。

先生の話を、義父母にも直接聞いてもらうためです。

 

診察室では、まず鞄の向きを確認します。

写真立ての表面が先生に向いているか…。

毎回、「夫+私+義父母」の4人で聞いている感じです。

 

帰宅するまで、義父母に全部聞こえていると思っています。

病院内外のレストラン、車の中での会話等。

 

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診察室に入りました。

 

鞄の中の「写真立て」の向きを確認しました。

両手で鞄をしっかり握りました。

 

二人とも覚悟は出来ています。

(たぶん…体中に小さながんがいっぱい…)

 

しかし…

今回も「想定外の結果」でした。

 

1-⑭手術後日「病理検査の結果(想定外)」
『私たちは、病院内で有名だと言われました。…』

2-⑳病理検査の結果「今回も想定外」
『病理検査の結果は、約1か月後でした。…』

 

 

「新しいがん」は見つかりませんでした。

既に見つかっている「2つだけ」でした。

 

二人ともキョトンとしました。

「えっ・・・?」

「えっ・・・?」

 

夫が、恐る恐る聞きました。

「…小さいがんもですか?」

 

主治医は一言。

「ない。」

 

私も信じられませんでした。

「私も、小さいがんが沢山あると思っていたのですが…。」

 

主治医は早口でした。

「ない。」

「既に見つかっている2つだけ。」

「だから急いだ方がいい。」

 

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夫はまだ半信半疑。

気持ちの整理がつかない様子。

ボーッとしています。

 

主治医の話は私に託されました。

(義父・義母にも聞いてもらわなくちゃ…)

 

鞄の中の「写真立て」の向きを再確認。

鞄の両端をギュッと握りました。

 

 

主治医の説明が始まりました。

現時点で考えている事を、全て伝えて下さろうとしている様で、「力強く」「早い口調」でした。

〇外科と内科で話し合った

〇内視鏡手術も視野に入れて考えた

〇しかし、内視鏡手術は難しいと判断

〇2か所は場所が離れている

〇しかし手術は1回でやる

〇部分切除のあと…

〇この臓器に繋げる…

〇そして、こちらの臓器は残す…

〇残す理由は…

 

主治医の話は続きました…。

 

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主治医の説明が終わりました。

 

夫の声がしました。

毎回、夫が話すのはこの質問の時だけ。

「入院期間はどの位ですか?」

「3月いっぱいですか?」

 

主治医は少し考えていました。

「状況による。」

 

夫は、仕事の事で頭がいっぱいの様でした。

「4月に入る事はありますか?」

 

主治医の答えは変わりません。

「状況による。」

 

この質問をしている時の夫を見ていると、本当に胸が痛くなります。

(夫は、仕事の事を考えている…)

(もしかしたら、死ぬかもしれないのに…)

(この様な状況でも、サラリーマンは仕事が気になる…)

 

毎回同じ質問をするので、主治医は夫の気持ちを察していると思います。

(「状況による」という一言…)

(結果のパターンは説明出来るはず…)

(ただ、現時点ではこの言葉が全て…)

 

 

夫は、主治医の顔をじっと見ていました。

「他の言葉」を待っている様でした。

 

でも、39歳から長年お世話になっている主治医です。

患者を不安にさせる様な発言や、必要以上に期待させる発言をしない医師である事は、夫は重々承知しています。

 

夫は質問を止めて、また頭を下げました。