【30代】①親ではなく「人生の先輩」と感じた瞬間

お墓の側面に、戒名や没年が刻まれています。
全員男性で、がんのため40歳代で他界しています。
夫の父方のお墓です。

結婚前のある日、義母から「実母と3人でお茶をしたい。」と言われました。

義母は、喫茶店に入ると実母に挨拶も早々に開口一番、
「がんの家系(義父方)」である事
「男性は40歳代で死亡」している事
「義父も47歳で死亡」した事
などを話し始めました。

そして、
「この話をお嬢さんから聞いていますか?」
「お嬢さんは、話をしていると言っています。」
「でも、私は、お聞きになっていないのではないかと思っています。」
「大事なお嬢さんにお嫁さんとして来て頂くので、重要な話しはしておくべきだと思いました。」
と、心配そうに話しています。

両親には心配を掛けさせたくないと思い、黙っていました。
義母に聞かれた時は、「大丈夫です。話をしています。」と答えていました。

実母の声が聞こえません。
息がつまりそうでした。
横に座っている実母の顔を見る事が出来ません。
とても長い時間に思えました。

しばらくして、実母の声が聞こえました。
静かでゆっくりですが、力強さのある声でした。
「はい、聞いています。」
「私も夫も、二人の結婚に賛成しています。」

帰り道、実母は一言も話しをしません。
電車の中では、目を閉じて考え事をしている様でした。

玄関の前で、一言だけ会話をしました。
「…今日はありがとうございました。」
「どうして黙っていたの?反対すると思っていたの?」

実母は帰宅するなり、父の部屋に入りました。
何時間経ったでしょうか。
やっと二人で出てきました。

父から、「これから話す事をよく聞きなさい」と言われました。
〇話を聞いたが、「結婚に賛成」である事に変わりはない。
〇今後二人で歩んで行く道は、恐らく険しい道になると思うが「決して離れてはいけない」「そばで支える事」。
〇壁に当たったら二人だけで解決しようとせず、「親や年長者に相談」をしなさい。年長者は色々な経験をして乗り越える術を知っているから。

数日後、義母とお茶をした時に聞かれました。
「本当は、お母さんに話していなかったのでしょう?」
「…はい…すみません…。」

義母は大きく数回頷きました。
「いいお母さんね。」
「恩返しをしなくてはいけないわね。」

恩返しとは、”私たちが二人で長く一緒にいる” ための教えでした。

亡くなった義父に「もっとしてあげたかった事」、「後悔した事」。
「健康診断、病院、主治医、治療等」についての、義母の考え方。

3人の親を、「親ではなく人生の先輩」として感じた瞬間でした。