【30代】⑥外科入院「勇気づけられた主治医の言葉」

内科での検査が終わると、すぐに外科病棟に移されました。
そして、「外科医長(現院長)」の面談室に案内されました。
医長(現院長)は、ニコニコと優しい笑顔で迎えてくれました。

外科についての話が始まりました。
「慌ただしくて悪かったね。」
「内科の医長(前院長)から「早く手術をしてあげて欲しい。」と連絡をもらっているからね。」
だから急いで移ってもらったの。」

最後に家族の私にも声を掛けて下さいました。
「奥さんから何か話しておきたい事はありますか?」

なぜ、こんな返事をしたのかわかりません。
途切れ途切れにやっと声を出していました。
「ずっと…」
「二人で…」
「一緒に…」
「暮らして…」
「行きたいです…」

医長(現院長)は、やはりニコニコと優しい笑顔でした。
「安心しなさい。」
「この病院で、一番腕の良い先生をつけてあげるからね。」
「今、その先生が部屋で待っているから会って来なさい。」

 

そして、今後20年以上主治医となって下さる医師が待つ部屋に向かいました。
部屋に入ると、にこりともせず無表情の医師が座っていました。
医長(現院長)は、ニコニコと笑顔でしたが全く反対です。

詳しい手術の説明が淡々と始まりました。

夫は「親族の死」を何度も経験しています。
父方の男性は「40代で皆他界」しています。
全員「がん」。

夫の病院に対するイメージは、
”入ったら出て来れない”

夫はずっと黙っていましたが、初めて声を出しました。
「死ぬのでしょうか…。」

医師の答えは予想外でした。
「私が貴方の体を治します。」
「私にはその自信があります。」

きっぱりと言い切る医師に吃驚しました。
思わず顔を見てしまいました。

私は、医師をじっと見て、
医師は、下を向いている夫をじっと見ていました。

医師は怒っている様で早口でした。
「死ぬのでしょうか…。」を、医療ミスの質問と勘違いをされた様でした。
”この病院で医療ミスはない、我々は常に真剣に向き合う自信がある”という意味の様でした。

私は慌てて弁解しました。
夫が質問した意味、がんの家系である事。

医師は「あぁ…」と言い、下を見ている夫を見ながら話し始めました。

がんは2つ。
1つは「見つけ難い場所」、「よく見つかった」、「すごいことだ」と説明を受けました。

 

見つけてくれたのは、内科医師(現副院長)でした。
あの検査日、廊下で一言一言、私の心情を察しながら話をしてくれた内科の医師です。

あとで看護師さんが教えてくれました。
「〇〇先生(現副院長)がかなり詳しく調べていた。」
「細かい部分まで見たので、夫は痛かったかもしれない。」
「でも見つかった。」

現代の医学では、難しくないのかもしれません。
しかし、20年前は見つけ難い場所だったのだと思います。

 

外科の医師は、最後まで無表情でした。

夫は、最後まで下を向いていました。

私は、「他科(内科)の医師を素直に褒める人間性」の外科医師に驚いていました。

 

結果はどうなるかわかりません。
しかし、この病院にお願いしたいと思いました。

〇内科医長(前院長)から外科医長(現院長)への、「最速での手術依頼」の連携
〇内科医師(現副院長)の、家族への接し方、見つけ難いがんを見つけてくれた事
〇今話している外科医師は、無表情で怖いけれど、恐らく素晴らしい人間性の医師だと感じた事

 

一切笑わず、怖い印象の医師です。
でも、
「この先生を信じよう。」
「この先生にお願いしたい。」
と思いました。

そして、私の心の中で変化が起きました。
「絶対治る!」という強い気持ちになりました。

涙も止まりました。