【30代】⑦手術の順番「他の患者様に感謝」

外科病棟に移り、引き続き検査が行われました。

私も付き添いで検査室の前で待っていました。
ハンカチを忘れた事に気が付き、病室に戻りました。

病室に戻ると、緊迫した異様な空気が流れていました。

看護師長(当時、看護婦長)と副師長が、患者さん方に謝っています。
何度も頭を下げています。
「すみません、すみません。」

病室は4人部屋でした。
お一人は70~80代位の方でしたが、腕を組んで難しい顔をしています。
50代位のお二人は返事をせず、下を向いていました。

皆さんが一斉に私を見ました。
看護師長は、私が戻って来た事に非常に驚いた様子でした。

(皆さん私を見ている…)
(…というか…)
(睨まれているみたい…)

 

検査が終わり、外科医長(現院長)の話が始まりました。
やはり穏やかで優しい笑顔です。
ニコニコニコニコしています。
「何も心配いらないからね。」
「早く手術をしましょう。」
「看護師さんが、手術の順番を変更してもらう様に他の患者さんにお願いをしてくれたからね。」

(えっ?)
(手術の順番を変更?)
(あっ、さっき謝っていたのは夫のため…)

急いで病室に戻りました。
早く早く、急がなきゃ急がなきゃ、という気持ちでした。
皆さんに会って御礼を言わなければ…と思いました。

 

しかし、口から出てきた言葉は御礼ではなく「謝罪」でした。
「先ほどは存じ上げなかったとはいえ、大変失礼致しました!」

今までに経験の無いほど、頭を深く下げていました。
しかし、声が聞こえません。
(…どうしよう…)

恐る恐る頭を上げました。
皆さんは、黙ったまま小さく頷いていました。

 

現在の年齢になりよくわかります。
50でも70でも80でも長く生きたいです。

1日も早く治りたい。
手術をして欲しい。

ご家族も同じ気持ちだと思います。

 

一体、何人の方に迷惑を掛け、お世話になり、支えて頂いたのでしょうか。

忘れ物を取りに戻らなければわからない出来事でした。